スタジオジブリ【海がきこえる】

「地元の子」たちだけで固められている環境では、「転校生」は嫌でも目を惹くものだ。優秀で、しかも飛び切り可愛ければなおさら、となるわけだが、本作の武藤 里伽子もまさしくそうしたタイプであり、彼女がもたらしたインパクトは、良くも悪くも「地元の優等生」だった杜崎 拓たちに様々なインパクトをもたらしていく。

もちろんそれは単純な賞賛などではなく、時に里伽子は吊るし上げられたり、色々な背負っているものに耐えかねるように「逃避」したりもするが、それらは里伽子自身はもちろん、付き合うハメになった拓たちをも変える、成長させるきっかけへとなっていく。

もっとも本作の拓たちは多くが東京の大学に行くような優等生揃いであり、暴走族に入ったり喧嘩で無期停学を食らったりと言った、作品的に分かりやすい「過ち」は起こさないが、だからこそ彼らの造形は実にリアルで、見る者の心を惹きつける。

拓たちは、完璧に純粋に勉強や部活に打ち込むことができない「オトナ」な部分を持っているが、自分の中の不満やモヤモヤ、あるいは焦燥感のようなものから目を逸らさないだけの純粋さを持ち合わせてもおり、だからこそ、本作を通じて描かれる彼らの「記憶」は鮮明で今でも私たちの記憶に刻まれ続けている。
遠い昔になってしまった学生時代を思い出したい方にオススメしたい一作。

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