新海誠監督【言の葉の庭】

高校に通う秋月孝雄は雨の日の1限をサボって新宿の庭園で靴のデザインを考えていた。ある日、昼間からビールを飲む女性、雪野を孝雄はどこかで会ったような気がした。その女性は、「雷神の少し響いてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ」という短歌を言い残して去っていった。その日をきっかけに、靴職人になる夢を持つ孝雄と味覚障害を患う雪野の雨の日だけの交流が始まった。
誰にも話したことのない夢を孝雄は語り、孝雄の作る弁当に味を感じる雪野。雪野は「靴作りの本」を送り、孝雄は彼女のために靴を作り始める。朝目を覚ますと、雨を願うようになっていた。
雨の日だけの交流は梅雨明けとともに庭園へ向かうきっかけを失い、夏休みに入ったことで逢わない日が続いた。夏休み明けのある日、孝雄は学校の廊下で雪野とすれ違う。雪野が高校の教師であることと生徒の嫌がらせによって退職することを知る。雪野のために作り始めた靴はまだ完成していなかった。

庭園に向かった孝雄は雪野の再会し、短歌の返し歌を口にする。前に進めていないような不安を抱える孝雄と歩き方を忘れてしまった雪野の雨が繋ぐ物語。『言の葉の庭』は新海誠が45分という短い時間だからこそ絵に力を入れた作品。
雨の打つ池、植物の葉に反射した光、モデルとなった新宿を中心を忠実に再現し美しい色彩設計で彩られている。
この作品は映像としての作品だけではなく、新海監督が自ら書き下ろした小説も楽しめる。映像では描き切れなかった登場人物の感情を綴られている。小説は物語の主軸を章ごとに替える連作長編となっている。孝雄の母と兄、同じ高校教師の元彼、雪野が嫌がらせを受けるきっかけとなった女子高生。45分では描き切れなかった出逢う前からその後の物語となっている。
言葉を知っている。小説を読んだ後にそう思わせてくる。
思春期特有の悩みを抱える高校生や働く大人だからこそ抱く問題を選び抜かれた繊細な言葉で綴られている。映像と小説の2つのメディアを楽しめる作品です。

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